呉かるた会

呉かるた会会長の、ノホホな徒然日誌

百人一首の虫 -鬱蒼とした森から奏でる31音- その2.

私こと「か め🐢」による百人一首の歌考察シリーズの第2弾です。歌考察というより、古典文法を駆使して歌の意味を味わうのがコンセプトだったりします。高校で習うので、小中学生には難しい?…かもしれません。私も10年以上ぶりに古典文法の知識を引っ張り出して、ブログを書きながら学んでいる次第です。

しばらくの間、どうか お付き合いくださいませ。

↓第1弾のブログはこちら。

kure-karuta.hatenablog.com

6. かささぎの わたせる橋に…

かささぎの わたせる橋に おく霜の

しろきを見れば 夜ぞふけにける

【意味】

冬の夜空に白々と天の川。七夕の夜には、カササギが翼をかわして、天の川に橋をかけるというが、ここ地上の橋にも白い霜がおりている。夜もふけたことが思われる。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.35 より引用

天の川」という言葉から「七夕 (7月7日) 」が連想される歌。

では 何故「」という言葉が出てくるのか?

 

↓今回も、以下のサイトを参考にしました!

from2ndfloor.qcweb.jp

 

現代の七夕 (7月7日) は夏。しかし 旧暦では7月は秋である為「霜」という言葉が歌の中に入っている。

 

そして、七夕にまつわる有名な伝説はこちら。

 中国の伝説では、彦星 (牽牛 (けんぎゅう) ) と織姫 (織女 (しょくじょ) ) が一年に一度会うことを天の支配者に許されましたが、天の川が二人をへだてています。

 そこでカササギ (カラス科の鳥、ただし、おなかは白いのです) が翼をかわして橋をつくり、二人をわたしてやったといいます。

 (中略) 

 こおりつく夜空の星。冬銀河はカササギの橋なのか。

 ここ地上の橋も、霜で真っ白。夜もふけたらしい。

 ――身を切る寒さが感じられます。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

pp.36-37 より引用

 

7. 天の原 ふりさけ見れば…

天の原 ふりさけ見れば 春日なる

三笠の山に 出でし月かも

【意味】

大空をふりあおげば明るい月。あれはその昔、ふるさとの奈良の三笠山にさし出た月だ。ああ、なつかしいふるさとよ。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.38 より引用

 

8. わが庵は 都のたつみ…

わが庵は 都のたつみ しかぞすむ

世をうぢ山と ひとはいふなり

【意味】

わたしのそまつな住みかは都のたつみ (東南)、宇治山。鹿のいるところだが、心安らかにくらしているのに人々は、夜を憂しと思ってかくれ住むとうわさしている。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.41 より引用

 

9. 花の色は うつりにけりな…

花の色は うつりにけりな いたづらに

わが身世にふる ながめせしまに

【意味】

桜の花は長雨に色があせてしまった。わたしの容色も同じように、もの思いにふけっているあいだにむなしく、若いさかりはすぎておとろえてしまった。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.43 より引用

 

10. これやこの 行くも帰るも…

これやこの 行くも帰るも わかれては

しるもしらぬも 逢坂の関

【意味】

これがかの有名な逢坂の関だ。東国へくだる旅人も、都へ帰る旅人も、知る人も知らぬ人も、逢うては別れ、別れては逢う。まるで人の世そのもののような逢坂の関だ。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.46 より引用