呉かるた会

呉かるた会会長の、ノホホな徒然日誌

百人一首の虫 -鬱蒼とした森から奏でる31音- その5.

私こと「か め🐢」による百人一首の歌考察シリーズの第5弾です。歌考察というより、古典文法を駆使して歌の意味を味わうのがコンセプトだったりします。高校で習うので、小中学生には難しい?…かもしれません。私も10年以上ぶりに古典文法の知識を引っ張り出して、ブログを書きながら学んでいる次第です。

 

しばらくの間、どうか お付き合いくださいませ。

 

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21. いま来むと 言ひしばかりに…

いま来むと 言ひしばかりに 長月の

有明の月を 待ちいでつるかな

【意味】

あなたが、これからすぐ行くとおっしゃったものだから、わたしはずっと待ちつづけ、とうとう九月の有明の月 (夜が明けてなお空にのこっている月) が出るまでむなしくすごしてしまったわ。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.82 より引用

 

22. 吹くからに 秋の草木の…

吹くからに 秋の草木の しをるれば

むべ山風を 嵐といふらむ

【意味】

山嵐があらあらしく吹くものだから草木はしおれてしまう。なるほど、それで「あらし」か。さてまた、山の風と書いて「嵐」か、なるほどな。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.84 より引用

一字決まり「」の歌。

私的に「山+風=嵐」の公式が浮かぶ当たり、作者の数学的センスを感じております。

 

23. 月見れば ちぢにものこそ…

月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ

わが身一つの 秋にはあらねど

【意味】

秋の月を見れば心は千々に乱れて、もの悲しい。わたし一人のために来た秋じゃないけれど。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.86 より引用

 

24. このたびは 幣もとりあへず…

このたびは 幣もとりあへず 手向山

紅葉の錦 神のまにまに

【意味】

このたびの旅は急にたちましたもので、幣の用意もできませんでした。手向山の神さまよ、この山のみごとな紅葉の錦を幣としてお心のままにお受けください。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.88 より引用

当かるた会公式Tシャツのデザインにも用いられている歌。

幣 (ぬさ) とは、神主さんがお祓いの際手に持つ白い紙のこと。そして、上五は「このは」「このは」の意味を持つ掛詞。

幣の代わりに紅葉を…と、神に祈る様子を作者は歌っています。

作者の菅家 (かんけ) とは、あの学問の神様こと菅原道真のことです!!

 

25. 名にし負はば 逢坂山の…

名にし負はば 逢坂山の さねかづら

人に知られで くるよしもがな

【意味】

逢坂山 (滋賀県大津市) のさねかずら。きみに逢うの逢坂山。

共寝をひびかせたさ寝。つる草をたぐるように人に知られないで、きみのところにくる方法がほしいものだね。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.91 より引用