呉かるた会

呉かるた会会長の、ノホホな徒然日誌

百人一首の虫 -鬱蒼とした森から奏でる31音- その12.

私こと「か め🐢」による百人一首の歌考察シリーズの第12弾です。歌考察というより、古典文法を駆使して歌の意味を味わうのがコンセプトだったりします。高校で習うので、小中学生には難しい?…かもしれません。私も10年以上ぶりに古典文法の知識を引っ張り出して、ブログを書きながら学んでいる次第です。

 

しばらくの間、どうか お付き合いくださいませ。

 

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56. あらざらむ この世のほかの…

あらざらむ この世のほかの 思ひ出に

いまひとたびの 逢ふこともがな

【意味】

わたしは重い病の床にいます。もう死ぬかもしれません。あの世へいったときの思い出に、もう一度、あなたにお目にかかりたいのです。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.182 より引用

 

57. めぐりあひて 見しやそれとも…

めぐりあひて 見しやそれとも 分かぬまに

雲がくれにし 夜半の月かな

 (本書では「夜半の月かな」を「夜半の月影」と表記。) 

【意味】

何年ぶりかでやっとあなたに会えたわ。ほんとにあなたなの?――あやふやではっきりわからぬまま、あなたは雲にかくれる夜半の月のように帰ってしまったのね。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.185 より引用

やっとこさ、私の得意札が来ました!!(笑)

千年前でも女は友達を作って、友情を育てていたことを歌っています。

紫式部は、有名文学作品「源氏物語」の作者だけあって、人生全てを網羅したようなスケールの大きいテーマを歌い上げています。

 

社会人になってから、学生時代の友人とすっかり疎遠になってしまった (?) 私。数少ない友人達との友情をこれからも育んでいきたいです。

 

58. 有馬山 猪名の笹原…

有馬山 猪名の笹原 風吹けば

いでそよ人を 忘れやはする

【意味】

有馬山、そのふもとの猪名の笹原、笹の葉は風に吹かれてそよそよと鳴る。まるで「そうよそうよ」というみたい。そうよ、わたし、あなたのことをなんで忘れるものですか。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.188 より引用

 

59. やすらはで 寝なましものを…

やすらはで 寝なましものを 小夜更けて

かたぶくまでの 月を見しかな

【意味】

あなたがいらっしゃると思って、わたしは待っていたのに。夜がふけてお月さまが西の山へかたむくまで、起きていたのよ。こんなことなら、ためらわずさっさと寝るのだった。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.191 より引用

 

60. 大江山 いく野の道の…

大江山 いく野の道の 遠ければ

まだふみも見ず 天の橋立

【意味】

母のいる丹後の国は、大江山、生野の道、天の橋立、とても遠いのです。わたしはまだその地をふみもせず、母からの文 (手紙) も見ていません。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.194 より引用