百人一首の虫 -鬱蒼とした森から奏でる31音- その13.
私こと「か め🐢」による百人一首の歌考察シリーズの第13弾です。歌考察というより、古典文法を駆使して歌の意味を味わうのがコンセプトだったりします。高校で習うので、小中学生には難しい?…かもしれません。私も10年以上ぶりに古典文法の知識を引っ張り出して、ブログを書きながら学んでいる次第です。
しばらくの間、どうか お付き合いくださいませ。
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61. いにしへの 奈良の都の…
いにしへの 奈良の都の 八重桜
けふ九重に にほひぬるかな
【意味】
古い都の奈良に、美しく咲いた八重桜が、今日は九重の宮中に、みごとに咲きほこっています。
p.198 より引用
「いにしへ (古=いにしえ) 」と「けふ (=今日) 」、
「八重桜」と「九重」の対比が分かりやすくて、きれいな歌。
62. 夜をこめて 鳥の空音は…
夜をこめて 鳥の空音は はかるとも
よに逢坂の 関は許さじ
【意味】
まだ夜も明けないのに、鶏の鳴き声をまねて関所をあけさせたというのは、中国の故事。だけど、わたしに逢いたいという逢坂の関の守りはかたいわ。だまされてあけたりしないわよ。
p.201 より引用
清少納言の歌。
63. 今はただ 思ひ絶えなむ…
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを
人づてならで いふよしもがな
【意味】
今はもう、きみのことはあきらめよう、ということだけを、せめて直接にきみに会っていいたいんだけどねえ。……それすら許されぬ、ぼくらの恋なのだ。
p.204 より引用
64. 朝ぼらけ 宇治の川霧…
朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに
あらはれわたる 瀬々の網代木
【意味】
夜の明けるころ。宇治川いちめんの霧の絶え間、絶え間に、浅瀬の網代木があらわれてくる。……川霧は風に吹きはらわれ、網代木もほのぼのと。――
p.207 より引用
65. 恨みわび ほさぬ袖だに…
恨みわび ほさぬ袖だに あるものを
恋にくちなむ 名こそ惜しけれ
【意味】
あなたの薄情を恨み、なやんで、わたしの袖は涙でかわく間もありません。そのうえに、恋に狂うおろか者よと、世の人に指さして笑われる、わが名のいとおしさ。
p.210 より引用