呉かるた会

呉かるた会会長の、ノホホな徒然日誌

百人一首の虫 -鬱蒼とした森から奏でる31音- その15.

私こと「か め🐢」による百人一首の歌考察シリーズの第15弾です。歌考察というより、古典文法を駆使して歌の意味を味わうのがコンセプトだったりします。高校で習うので、小中学生には難しい?…かもしれません。私も10年以上ぶりに古典文法の知識を引っ張り出して、ブログを書きながら学んでいる次第です。

 

しばらくの間、どうか お付き合いくださいませ。

 

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71. 夕されば 門田の稲葉…

夕されば 門田の稲葉 おとづれて

蘆のまろ屋に 秋風ぞ吹く

【意味】

夕暮れになると、わが家の前の田の稲穂がさやさやと鳴る。蘆を刈って葺いた小屋にも秋風は吹きすぎてゆく。この風の冷たさ、はや秋なのだ。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.227 より引用

 

72. 音に聞く 高師の浜の…

音に聞く 高師の浜の あだ波は

かけじや袖の 濡れもこそすれ

【意味】

うわさに高い、その高師の浜のたちさわぐ波に袖をぬらしますまい。あなたの口先だけのやさしさに、うっかり心ひかれたりしたら、あとで泣くことになって袖がぬれますものね。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.231 より引用

 

73. 高砂の 尾上の桜…

高砂の 尾上の桜 咲きにけり

外山の霞 立たずもあらなむ

【意味】

高い山の峰の桜がやっと咲いたぞ。里に近い山々の霞よ、立たずにいてほしい。山の桜とまぎれぬように、な。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.234 より引用

 

74. 憂かりける 人をはつせの…

憂かりける 人をはつせの 山おろし

はげしかれとは 祈らぬものを

 (本書では「山おろし」を「山おろしよ」と表記。) 

【意味】

冷たいあの人が、ぼくを愛してくれるようにと、初瀬の観音さまにお祈りしたが、この山嵐のはげしさ。まるで彼女の気持ちそっくり。こんなにつらく当たろうとは、祈らなかったのに。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.236 より引用

うっかりハゲ~」の語呂でおなじみの「うか」の札。

たまには、こういう俗っぽいのも必要ですよね (笑) 

 

歌の意味は、頭皮がうっかりハゲたという意味ではなく (笑)、ツンデレカップルの恋模様を歌っています。ツンツンした彼女の冷たさを、山嵐のはげしさに例えた歌となっています。

 

75. 契りおきし させもが露を…

契りおきし させもが露を 命にて

あはれ今年の 秋もいぬめり

【意味】

あなたはお約束くださいましたが、その約束のおことばも露のようにはかなく、とうとう今年の秋もむなしく去ってゆくようです。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.239 より引用