百人一首の虫 -鬱蒼とした森から奏でる31音- その16.
私こと「か め🐢」による百人一首の歌考察シリーズの第16弾です。歌考察というより、古典文法を駆使して歌の意味を味わうのがコンセプトだったりします。高校で習うので、小中学生には難しい?…かもしれません。私も10年以上ぶりに古典文法の知識を引っ張り出して、ブログを書きながら学んでいる次第です。
しばらくの間、どうか お付き合いくださいませ。
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76. わたの原 漕ぎ出でて見れば…
わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかたの
雲居にまがふ 沖つ白波
【意味】
大海原に舟をこぎ出し、海と空をひろびろとながめてみれば、沖の白波は雲にも見まがうばかりだ。
p.241 より引用
77. 瀬をはやみ 岩にせかるる…
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に あはむとぞ思ふ
【意味】
瀬の流れが速いので、岩にせきとめられて滝の水は二つに分かれる。そのようにぼくときみは今はせきとめられて別れても、将来かならず再会して恋をつらぬく決心だよ。
p.244 より引用
私が「め」の次に好きな1字決まり札です。ここでも「をみ構文」登場しました。
「別れても、またいつか会える。」というシンプルな思いを表した歌。
↓「をみ構文」の詳細については、その1. にて。
78. 淡路島 かよふ千鳥の…
淡路島 かよふ千鳥の なく声に
幾夜寝ざめぬ 須磨の関守
【意味】
淡路島から千鳥は友をよんで鳴きかわしつつ飛んでくる。その鳴き声に、須磨の関守は、幾夜、眠りをさまされてもの思いにふけったことだろうか。
p.247 より引用
79. 秋風に たなびく雲の…
秋風に たなびく雲の 絶えまより
もれ出づる月の 影のさやけさ
【意味】
秋風に吹かれ、たなびく雲の切れ間から、さっともれ出た月の光の明るさよ。
p.250 より引用
百人一首史上 (?) 最も解説が分かりやすい歌。…ではあるが、古語で「影」とは「光」を意味するところに注意。つまり「月の影」とは「月の光」を意味する。
80. 長からむ 心も知らず…
長からむ 心も知らず 黒髪の
みだれて今朝は ものをこそ思へ
【意味】
あなたのお気持ちはいつまでも変わらないのかしら。わたしにはわからない。黒髪が乱れるように、今朝、わたしの心は乱れています。
p.252 より引用