呉かるた会

呉かるた会会長の、ノホホな徒然日誌

百人一首の虫 -鬱蒼とした森から奏でる31音- その3.

私こと「か め🐢」による百人一首の歌考察シリーズの第3弾です。歌考察というより、古典文法を駆使して歌の意味を味わうのがコンセプトだったりします。高校で習うので、小中学生には難しい?…かもしれません。私も10年以上ぶりに古典文法の知識を引っ張り出して、ブログを書きながら学んでいる次第です。

しばらくの間、どうか お付き合いくださいませ。

 

↓第1弾のブログはこちら。

kure-karuta.hatenablog.com

↓第2弾のブログはこちら。

kure-karuta.hatenablog.com

 

11. わたの原 八十島かけて…

わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと

人には告げよ 海人のつり舟

【意味】

大海原にたくさんの島々はうかぶ。流人島をめざしてこぎ出し、わたしは追われていったと、都の人につたえておくれ。釣り舟の漁師たちよ。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.48 より引用

 

12. 天つ風 雲のかよひ路…

天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ

をとめの姿 しばしとどめむ

【意味】

空を吹く風よ、雲の中の通り道をとざしておくれ。天へ帰る美しい少女たちの姿をもうしばらくとどめておきたいから。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.51 より引用

 

13. 筑波嶺の みねより落つる…

筑波嶺の みねより落つる みなの川

恋ぞつもりて 淵となりぬる

【意味】

筑波山の峰々からしたたり落ちる水が、あつまって男女 (みなの) 川となるように、わたしの恋もしだいに積もって、いつか深い淵となりました。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.54 より引用

 

14. みちのくの しのぶもぢずり…

みちのくの しのぶもぢずり たれ故に

乱れそめにし われならなくに

【意味】

陸奥 (みちのく) (東北地方) の信夫 (しのぶ) の里 (福島県福島市) の名産品「しのぶもじずり」(布に乱れもようをすって染めたもの)、そのもようが乱れているように、ぼくの心もきみのためにかき乱されたんだ。きみのためだよ。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.56 より引用

 久々の解説。この句のポイントは2点。

(1) 「しのぶもぢずり

「しのぶもぢずり」の「しのぶ」は掛詞で、「偲ぶ」「信夫」の2つの意味がある。

(2) 「乱れそめにし

また「乱れそめにし」の「そめ」も掛詞で、「染め」「初め」の2つの意味がある。

 

↓以下のサイトを参考にしました!

from2ndfloor.qcweb.jp

 

15. 君がため 春の野に出でて…

君がため 春の野に出でて 若菜つむ

わが衣手に 雪は降りつつ

【意味】

あなたにさしあげようと、わたしは早春の野辺に出て、若菜をつみました。そのわたしの袖に淡雪がちらちらと降りかかります。

 

田辺聖子 著「歌がるた 小倉百人一首」(角川文庫)

p.59 より引用