百人一首の虫 -鬱蒼とした森から奏でる31音- その11.
私こと「か め🐢」による百人一首の歌考察シリーズの第11弾です。歌考察というより、古典文法を駆使して歌の意味を味わうのがコンセプトだったりします。高校で習うので、小中学生には難しい?…かもしれません。私も10年以上ぶりに古典文法の知識を引っ張り出して、ブログを書きながら学んでいる次第です。
しばらくの間、どうか お付き合いくださいませ。
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51. かくとだに えやはいぶきの…
かくとだに えやはいぶきの さしも草
さしも知らじな 燃ゆる思ひを
【意味】
こんなにきみを愛している、とだけを、口に出していえればいいんだけど、いえないぼく。まるで伊吹山のもぐさのように、くすぶって燃えるぼくの思い、きみは知らないだろうねえ。
p.167 より引用
52. 明けぬれば 暮るるものとは…
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら
なほ恨めしき 朝ぼらけかな
【意味】
夜が明けたらお別れ。明けたらまた暮れる。暮れたらきみにまた、逢えると知りながら、それでもやっぱり、恨めしいのは朝ぼらけだよ。
p.170 より引用
53. なげきつつ ひとりぬる夜の…
なげきつつ ひとりぬる夜の 明くるまは
いかに久しき ものとかは知る
【意味】
今夜もあなたはいらっしゃらなかったわね。ためいきをつきながら一人寝る夜の、明けるまでの長さを、あはたはごぞんじかしら?
p.173 より引用
54. わすれじの 行末までは…
わすれじの 行末までは かたければ
今日をかぎりの 命ともがな
【意味】
きみのことは忘れないとあなたはおっしゃった。でも遠い将来のことはたのみがたいわ。それより現在の、この恋の絶頂のときに死んでしまいたいわ。
p.176 より引用
55. 滝の音は たえて久しく…
滝の音は たえて久しく なりぬれど
名こそ流れて なほ聞えけれ
【意味】
その昔、嵯峨の帝がお愛しになった滝は、もう、かれてしまって久しい。しかし、その名はいまだに世にうわさされて、人々に忘れられていない。
p.179 より引用